「先生って、アイツ?あの腰抜け?」

寒河江の様子に、私は目を開けた

声が、少し震えていたように感じたから


「一人で逃げたアイツに助けを求めんの?お前、そんなにアイツが良かった?
…大人だし、あのツラだから、さぞ上手かっただろうな!」

寒河江の顔が怒りで歪む


「ち、ちがう…、せんせいとは…、なんにも……」

はあ…と寒河江が大きなため息をついた。

「…やめた。優しくしてやろうかと思ったけど、比べられたらたまんねーし。
黙ってろよ…」

「待って!やめて!お願…」

口を塞がれる。両手で寒河江の手を避けようとしたが、全く敵わない

嘘だ!こんな事あるわけない!!


突然痛みが走った!熱いような、冷たいような感覚に襲われ、私は苦痛で涙が止まらなかった

「やめて!やめて!」

どんなに身を捩ってもビクともせず、何度叫んでも私の声は虚しく寒河江の手の中に消えていった…















……私は奪われたのだ……

心も、身体も…