「大丈夫、新川さん?」

カウンセリングルーム。
ここに来ることなど一度もないと
思ってたのに。

目の前に座るのは保健医の先生。
「先生も若い頃はね…」

悪いけど先生の長話など聞く気分じゃ
ない。

慰めになってないから。

そんなに深い心の傷を負った訳でもない。

悲劇のヒロインも
演じてるつもりはないし。

どーせ、みんなからしても
あいつは面倒くさい女。それだけ。


「わたし教室戻れます。」
「本当?大丈夫なの?心配だわ。
このまま帰ってもいいのよ?」
・・・熱出たとか、そういうのじゃないし。


「大丈夫ですから。
ありがとうございました。」


教室に向かう廊下を歩くとき、
他のクラスの子の同情。

「大丈夫、大丈夫!!」
この台詞を繰り返しニカッと笑う。

心配なんてしてないんでしょ。
して欲しいとも思ってないけど。


…ガラララ。
「莉子ー!!
心配した〜。授業なんて聞いてなかったよー。大丈夫?!」
「うん、大丈夫、大丈夫!!」


「おい、涼汰謝れよ。
新川可哀想過ぎんだろ。」
・・・すっごい小さい声で男子の
喋り声が聞こえる。

あれは、松村陸?!
優しいところあるじゃん。
喋ったことないけど。

「俺、悪いことしてないって。
みんな勘違いし過ぎ〜。
新聞部の愛斗が勝手に見てたんだって!」

・・・あなたのせいでわたしは泣いたんです。
もっとマシなやつを好きになればよかった。

愛斗って引越しって来たばっかで…
確か、菜穂ちゃんっていう子と
付き合ってなかったっけ??

お前も振られろ、菜穂ちゃんに。