授業中、先生の話をノ一トに写していると、いつもいつも私の邪魔をする。 指先が私の背中を伝うたび、ビクっとしてしまうのは、条件反射だ。 だから決まって授業の後は、 「ちょっと、水城【みずき】くん!」 水城くんに、説教をする。 これはもはや、 「何?笹木【ささき】さん」 嫌味のないような、キレイな笑顔で笑う彼は、今の私には敵でしかない。 「止めてって言ってるでしよ!?」 「何を?」 「何を?ってね一」 「だって俺、全然わからないから。何のことだか、さっぱりね」