彼に囚われ。







小学校の低学年。
一人で遊ぶ寂しそうな子を見つけると
声をかけずにはいられない私だった。


その日は、いつも一緒に帰る友達の彩奈ちゃんが
風邪でお休みだったから一人で帰っていた。




「ねえ、一緒に遊ぼう?
 私、妃弦!君は?」



景色がオレンジに染まる中、一人でブランコに揺られていた
男の子に目が行った私は彼に駆け寄って声をかけた。
彼はうつろな瞳をこちらに向けて、静かにほほ笑んだ。



「ひ、づる、ちゃん?」

「うん!ひーちゃんでいいよっ
 みんなひづのことそう呼ぶの!」



私がそう言って歯が見えるほど笑ってみせると、
それにこたえるように男の子も笑って見せた。



「僕は、秀真。」

「しゅーま!しゅーまは何才ー?
 ひづは昨日、七才になったんだよ!」



誕生日を迎えたことがうれしすぎて、
会ったばかりの秀真に自慢した。



「僕はまだ六才。でも今年から
 小学校二年生になったよー。」

「えっ、ひづもだよー!」