「な…何か少なくない?」
ヨキが言った。
「そうなの。他の5人は仕事の都合だったり、連絡が取れなかったりでここにいるメンバーしか集まらなかったのよ」
アカシが残念そうに言った。
「アカシさんのせいじゃないよ。半分だけでも集まれただけいいじゃない」
ユウナがアカシを励ました。
それに便乗してコウキも「そうだ、そうだ」と言わんばかりに頭を上下に振っている。
ナツメは…ソッポを向いてた。

「まぁ、そうだよな。俺はたまたま土日祝祭日は休みの会社だから」
そう言った後、俺はまだ恵まれてるのかも?って心の中で思った。
「ところでみんな、今何してんの?」
空気が読めないコウキが珍しく空気を察したのか、ナイスなタイミングでみんなに問いかけた。
「んじゃ〜みんな、改めて自己紹介しようよ!あたしはまだ学生。英文科にいるわ。」
さすがに話を繋げるのがアカシはうまいと単純に思った。
「え〜いいなぁ〜。アカシさん学生なんだ?羨ましい。私も勉強出来るうちにもっとしとけば良かったな〜」
ユウナがアカシに言った。
「いや〜でも大変よ?論文とかも提出しなくちゃいけないし、高校とかより自由度はあるけど、その分自己管理がちゃんとできないと落第しちゃうからね。で、そういうユウナは何やってんの?」
「私はデパートで販売員やってる」
「うほっ!ユウナ、制服とか着てんの?」
コウキは急に妙なテンションで話し出した。
「一応制服はあるけど、地味な黒の上下に白いブラウスだよ。」
ユウナは無意識にコウキの脳内に入り込む。
「うは〜。ユウナの制服姿、可愛いんだろうな〜」
ユウナが「そんなことない」と言いかけたのと同時に「変態め」かすかに聞こえた。
「おい!誰が変態だと!?」
コウキがナツメを睨みつける。
「僕は正直な感想を述べたまでだよ。女性の制服姿を想像して鼻の下を伸ばしてるのが変態でなければ何だと言う?節操がない」
ナツメが呆れ顔コウキを見る。
「冗談で話を盛り上げようとしてるだけだろ!」
コウキがキレ気味なってるのをアカシが制する。
「ナツメ、コウキもコウキで冗談が過ぎるけど、変態って言い方はないわ。あんたこそ輪を乱さないように気を使ったらどうなのよ?」
アカシ、ごもっとも。
「喧嘩はやめましょうよ。これから"楽しいタイムカプセル開け"があるんだから♪」
ユウナのこのフンワリした雰囲気には誰も勝てない。
みんなしょうがないな…って顔してそれぞれが黙る。
「ヨキは今何やってるの?」
「普通のリーマンだよ」
…みんな再び沈黙。
すまん、ユウナ。せっかく話題振ってくれたのに、一言で終わる言い方をして…と思ったが、遅かった。
しゃ〜ないので俺が話題を振る。
「コウキは?」
「俺か?俺は今、世界を股にかける隕石ハンター!!」
コウキはオーバーアクションで天を指差した。
「…」みんな暫し無言の後、アカシが
「ナツメは相変わらずお父さんの会社?」
「残念ながら…。今は大学に通って経済を勉強中だ。」
へぇ〜とみんながナツメに注目する…一人以外は。
「いやいや、ちょ〜っと待てぃ!嘘だと思ってんだろ?俺が言ってること!みんなしてスルーかよ?」
「ん〜コウキならやってそう…」俺がそう言うと「だろ?だろ?」って上機嫌。
やっぱコウキは変わってないな。
でも「隕石ハンター」は流石にないだろって内心思っていた。

「さぁ〜て!そろそろ掘ってみる?」
アカシが立ち上がった。それを見てすっかり目的を忘れてた俺達も急に思い出したかのように立ち上がった。
「そうだな。積もる話はタイムカプセルを開けてからだ!」
と、俺も同意した。
そしてみんなで銀杏の木の下に目を向ける。
「んじゃ〜体力自慢のヨキを先頭に男子3人で掘ってみて。疲れたら言ってくれれば交代するから」とアカシが仕切った。
男3人は「えっほ、えっほ」と土を掘り返した…が、掘っても掘っても何もなかった。