アカシが周りをキョロキョロ見回している。
そこにコウキがやってきて「俺、あんなトコまで吹っ飛ばされたけど、他のやつらは?」とアカシに聞いた。
「それが分からないの。気が付いたらみんないなかったから」とアカシが不安気に答える。
「もしかしたらさ、俺みたいに吹っ飛ばされてどっかにいるかも知れないし、俺探しに行って来る。アカシは誰か戻って来るかも知れないからここにいて」
コウキはアカシの返事も待たずに歩き出していた。

コウキは時々ヨキ達の名前を呼びながら校舎の敷地内をくまなく探した。
でもヨキ達の姿は見つからなかった。
「戻ってたらいるかも知れない」と思い、コウキはアカシの居る所まで戻って行った。

「どう?みんないた?」
聞くだけ無駄だということはアカシにも分かっていたが、聞かずにはいられなかった。
「いや…そっちは?」
コウキも同じように聞くだけ無駄なのは分かっていたが、聞いてみるより方法はなかった。
「全く…」
アカシが両手を振って答えた。
「あいつらどこ行っちゃったんだろうなぁ〜」
二人はヨキ達が戻るかも知れないし…というわけでもう少し待ってみる事にした。

沈黙を破ったのはアカシだった。
「あのさ、コウキ。何か変だと思わない?」
「う〜ん…何が?」
コウキの答えにちょっとイラッとしたアカシが言った。
「おかしいでしょ、この状況。みんながあたし達を置いて帰ったとも思えないし、もしそうなんだとしたら連絡くらいは入れると思わない?」
「あ、そうだ!」
アカシが言った言葉で思い出したかのように、コウキは携帯電話をポケットから取り出した…が、連絡先を知らないことにすぐ気付く。
その行動にアカシも気付いて自分の携帯をバッグから取り出す。
「コウキ、ナイス!この手があったよね!」
こんな事も思い浮かばないくらい混乱してる自分が憎い…とアカシは思った。
そしてみんなの携帯に電話をし始めた…が、ヨキ、ユウナ、ナツメ共に全員が「お客様のお掛けになった番号は、現在電波の届かないところにいてお繋ぎできません」ってガイダンスが流れた。
傍で聞いていたコウキも真剣な顔でガイダンスに耳を傾けてた。
「家に帰ってるかも知れないし、そっちにかけてみる」
アカシが言った。
そして変なことを言って相手の家族に心配かけないように、最大限の気を使ってかけたが、こちらもやはり「外出したまま帰ってない」と言われた。
3人ともどこに行ってしまったんだろう?
もし家に帰ってるんだとしたら、もうとっくに着いてる筈なのに、3人が3人共、家にも帰っておらず、携帯も通じないなんて何か変だとアカシは思った。
もちろんコウキもアカシと同じように思っていた。