「う…うわっ!」
僕は激しい光に目が眩んだ。

「ナ・ツ・メ・君♪」
顔をあげるとそこにはユウナがいた。
「最近ヨキと一緒にいないけど、何かあったの?」
ユウナが心配そうに聞いて来た。
「別に…。あんな体力バカで頭が悪い山猿なんかと一緒にいるのが疲れただけだよ」と答えた。
するとユウナは僕の横に腰掛けて
「う〜ん…でもナツメ君、寂しそうだよ?それにヨキは体力バカなだけじゃないよ。優しいとこもあるしね」
「それは僕だって知ってるよ」って言いかけて「じゃあ、何で?」って返されるのが分かってたから、僕は何も答えないでいた。
「私は2人の間に何があったかは分からないけど、みんなで仲良くしてた方が楽しいと思う」
ユウナはそう言ってから何も答えない僕を見て「ごめん、余計な事言っちゃったね」って肩をすくめて小走りに去って行った。
ユウナの気持ちは分かるし、僕だってみんなと仲良くしてた方が楽しいのは知ってる。
でも…どうしてもヨキが許せなかったんだ。
思い出したてまた腹が立ってきた。
「くそッ!」
そう呟いて学校の廊下の壁を拳で軽く殴った。痛くて血が滲んで、そしてまた腹が立ってきた。
自分の拳から滲み出た血を見ながら、ヨキだったらこんな軽く壁を殴ったくらいで怪我なんかしないだろうと思ったら、益々腹が立ってナツメはそれを止める事が出来なかった。
「くそッ!!」さっきより大きい声で叫んで、その声でビクッとなって目覚めた。

嫌な事を思い出しちゃったな…

ナツメはそう思った。
いや、待て。そんな事よりも…とナツメは辺りを見回して愕然とした。
辺り一面が真っ白な世界になっていたからだ。
ナツメは取り敢えず立ち上がって、どこか怪我をしたり痛みがないかを確認した。
「よし、動けるようだ。ここでパニックに陥ってはいけない」と自分に言い聞かせた。
そしてもう一度辺りを見渡すと遠く離れた所に人影が見えた。
とにかく右も左も分からない、ここがどこなのかも分からない中で人影を発見出来た事に感謝した。
近付いて行くうちに人影がどんな人間か確認したナツメは、その人影に向かって大きく手を振りながら近付いていった。
「お〜い!!」
振り向いた人影はナツメが良く知っている人物、ユウナだった。