…何?この感覚…
何だかちょっぴり怖い…
でも暖かく包まれるみたいな感じーーー


「ユウナ!」
振り向くと真っ黒に日焼けしたアカシさんが私を呼んでる。
紺色のスクール水着から伸びた細くて長い手足、程よくくびれたウエスト、ふくよかな胸…。
「私と大違いだわ」
ユウナは思った。
「ねぇ、ねぇ。ユウナ、聞いてる?」
アカシさんが私を覗き込んでニヤニヤしてる。
「あぁ、ごめん。どうしたの?」
逆光にさらされたアカシの背後はまるで後光がさしてるようにすら見えるくらい神々しく見えた。
「ここの隙間から男子がサッカーやってるのが見えるよ。ほら」
言いながらアカシはグラウンドの方を指差した。
私達がいるプールは校舎を挟んで反対っ側にあるので、意識して見ようとしない限りグラウンドからも見えないし、プール側からも殆ど見えない。
「あ、ホントだ」
ユウナはアカシが指す方向を見た。
「お〜い!」
アカシはグラウンドにいる男子達に向かって手を振った。
「や…やめて」
ユウナは逃げるようにグラウンドからは死角の場所に移動した。
「ユウナ、照れてる。大好きなヨキがこっち見てるよ〜?」
アカシはユウナをからかった。
「アカシさん!」
ユウナはアカシの口を自分の手で塞いだ。
そうすると調度グラウンドにいる男子から丸見えで、アカシのスレンダーな体と自分の体形を比較されるのが嫌で、また死角に逃げ込むユウナ。
「この距離からなんて、誰が誰だかわかんないよ。」
と、あっけらかんとアカシは笑う。
「え〜でもさっき、ヨキがいるって…」
ユウナが言いかけると、それに被せるようにアカシが言った。
「そりゃ〜そうでしょ。ヨキはすぐ分かるよ。男子の中で一番ちっこいのを探せばいいんだから」
クフっと笑いながらアカシは言った。


懐かしい…
中学生の頃の出来事を思い浮かべながらユウナは呟いた。
そしてハッと我に返る。

私、何してたんだっけ…

目を擦りながら体を起こすと目の前に広がるのは真っ白な、本当に白一色の世界だった。
「わ…私、今どこにいるの?何ここ…」
ユウナは見渡す限り真っ白なこの世界で一人ぼっちで某然としながら佇むしかなかった。

「お〜い!!」
遠くから誰かが呼ぶ声がする。
でもその人物が誰なのか、まだ光のせいでボヤけてる目では確認できなかった。