やかんに水を張り火にかける。 トースターに入れたパンはこうばしい匂いを 通り過ぎ黒くなった姿でチンと音を立てた。 「あちゃー、またやっちゃった」 そう呟く声も一人、 やかんの音にかき消される。 鼻腔をくすぐるコーヒーの香りに包まれて 少し焦げたパンをかじる。 「にがい…」 そう思っても朝の時間は過ぎていく。 手を止めずに食事を終えると早急に 出勤の支度に取りかかる。