その人影に思わず立ち止ってしまう。



ードンッ



「す、すみません、組長…って組長?!」



私は隊士の声に耳を傾けずにその人影のもとへと走る。


やっと…やっと、会えたッ…




「平助ッ」



私の声で振り返る彼。


大きな目をそれ以上に見開いて罰の悪そうな顔をして私に背を向けた。




「待って」



その言葉と同時に走って行ってしまう。



それでも私は彼を追いかけた。


でも、だんだん離れていく彼の後姿。


変に息が切れて苦しい。


目を細めて彼を見つめると、暗い物陰へと入って行った。



「待ってッ」



見えない彼を追いかける。


バクバクと暴れる胸を押さえて角を曲がった。