時斗に聞かされたものはすべて初めて知るものだった。



守る側と奪う側があった事なんて知らない。



私、何もしらないっ―――



「俺の言いたいこと、わかる?
俺が苦しんでる時、君は笑っていたんだ。
きっと俺だけじゃない。
君の周りにいた奴も苦しんでいたさ。
無力な君はへらへら笑って守られていた。
もし、君の仇が俺だったとしても、俺の仇は君なんだ!!

だから、月夜は利用させてもらったよ?

君には怒る価値すらないんだからね?
君さえ生まれてこなければ、
俺の家族や君の家族が壊れることなんてなかったんだから」






ねぇ、なら、私はどうすればよかったの??


皆を苦しめて私だけへらへら笑ってて、何もかも壊した。


壊したのは、私なんだ…



力を込めて握っていた刀はするリと手から滑り落ちた。



すべて、私の所為で…





黒い影は私の目の前で立ち止まる。




「だからさ?
君も苦しんで?」



またニタリと笑った時斗は鋭く光る刃を振りかざしながら走り出した。




その先には、平助しかいなかった…