これ以上何も言えなくなったのか、土方さんは渋々頷くと「急ぐぞ」と呟いた。
私たちはそれぞれの部屋へ向かい準備する。
「なぁ、月華…」
私に背を向ける平助はいつもの明るさが感じられなかった。
「平s…」
振り返る前に後ろからギュと抱き締められた。
「平助///?!」
いきなりのことで身を捩じらせるけどビクともしなかった。
「月華…止めても無駄だってことはわかってるから、一つ約束してくんねぇ?」
「何?」
「怪我だけはするな…」
「ふふっ、わかった」
そう言うと安心したのか離れていく平助に寂しさを感じながら振り返った。
「約束」
小指を差し出す私に「ガキみてぇー」と笑いながらも小指を絡めてきた。
「平助もだからね?
怪我、しないでね?」
「あぁ」
返事を確認した私達は床に広げてある浅葱色の羽織に腕を通した。


