月華への想いに気付くと急に腕の中にいるこいつの顔を見ることができなくなった。
つーか、
今、俺好きな人抱き締めてんだよな…
そっと視線を下げると不思議そうに俺を見あげるあいつ。
交わる視線に顔が熱くなるのを感じた。
その恥ずかしさを緊張にあいつから離れた。
「あ…」
離れた瞬間あいつが小さく声を漏らす。
そして自分の手で顔を隠していた。
「そ、だよね…」
そして唇をかみ締めながら俺に背を向けた。
「キタナイ私に触れるなんて、ヤ、だよねっ…」
何を勘違いしたのか小刻みに震える小さな背中。
その背中を見るたび後悔と自分に対しての怒りがこみ上げる。
「ごめん」
その背中に謝る。
「解かってるよッ私が一番汚いことくらいッ」
悲痛そうに声を上げるその声を否定するように俺も声を上げた。


