「遠藤か?」
聞き覚えのある声にバッと顔を無意識に上げた。
そして気付いた時にはその浅葱色の羽織を握り締めていた。
「斉藤さんっー」
その恐怖を掻き消すかのようにすがった。
「っ///
…って、その姿どうした?!」
乱れ姿の私に驚く斉藤さん。
何も言わない私を抱き上げて屯所への道を歩いた。
すぐそこだった屯所に着くと静寂に包まれており、
一部屋だけ明かりが灯っている部屋へ斉藤さんは足を進めた。
その明るさで私は我に返った。
「ま、待って!」
「何故…?」
「だって…その…」
極秘任務だから言える訳がない…
でも失敗してしまった私が土方さんにあわす顔がない。


