温かい愛の中で



めんどくさい…。

遅れて教室に入るのは雨よりも嫌いだ。
ドアを開けた瞬間、教室のみんなの目が一斉に自分に向く。
それが怖くて仕方がない。

一時間目…サボろうかな…。
教室入りたくないしな…。

「おっ早川じゃないか。どうした?寝坊か?ハハッ。」

いきなり声をかけられビクッとする。
考え事をしてたせいで全く足音が聞こえなかった。

振り向くと三藤先生が驚いた顔で立っていた。

「ビショビショじゃないか。傘さして着なかったのか?」

「あ、はい。傘忘れちゃって。」

「じゃあタオルも持ってねぇな。」

「持ってないです。」

だって天気予報で晴れって言ってたし。

「そうか、なら一緒に職員室来い。タオル貸してやる。」

「ありがとうございます。あ…でも授業…。」

三藤先生はニヤッと笑った。