~晴翔said~
空き缶の転がる音が響く教室。
1人の女子に集まる視線。
空き缶を拾って捨てる女子。
瞳の奥の闇。
「…んだあれ。」
空き缶当てたのに謝んねぇのかよ。
「おいてめ…」
「晴翔!…やめとけ。」
がっしりと松井に掴まれた俺の右腕。
「なんでだよ。おかしいだろ。」
「…なに言ったって無駄だ。ああいうのは関わんねぇのが一番だよ。」
初めて見た松井の真剣な顔。
いつもヘラヘラしてて何も考えてなさそうなあの松井が真剣に話してる。
「…クソッ」
──ドンッ
俺にぶつかった小さな体。
「すいま…せ…」
早川って奴だった。
少しひきつった顔。
あ、コイツ今またかよって思ってるな。
「すいませんでした。」
早川って奴はまた早足で去っていった。
歩くの速いな。
気がつけばなぜか俺の足も早足だった。
