温かい愛の中で



意味わかんない。
てかキモいんだけど。

気づいてないフリをして私は急いでイヤホンをした。


イヤホンはいい。
周りの音を消してくれる。
この世界にいるのは私だけで邪魔なものは何もない、そう思わせてくれる。


──急に聞こえてた音楽が聞こえなくなった。

「な!?」

後ろを振り返ると私より20㎝ぐらい背の高いあの男子が私のイヤホンを持って立っていた。

何してんの?
コイツ。

イヤホンを取り返そうとした瞬間───


「!?」

私はあの男子に抱きしめられた。

「てめ、何やっ…」


私の耳に届いた小さな声。


私の頬を伝う温かい涙(しずく)


なんで…私…泣いてるの?