温かい愛の中で



~晴翔said~

あの屋上でよく会う女子が落としていった名札を拾ってから1週間。
何でまだ返していないのかは俺にもわからない。

『早川 千宙』

はやかわ…ち…ちちゅう?
なんて読むんだ…この名前は。

やっぱり届けた方がいいか。
早川って奴何組だ?


「おい、松井。」

「お~晴翔(はるか)~久しぶりだな~。で、なんか用か?」

「あぁ、早川って奴お前のクラスか?」

「おう。俺のクラス~。教室にいるんじゃねぇの~?」

「そうか。ありがとう。」

5組の教室の中を覗いてみる。

早川は意外とすぐに見つかった。

「…!」

何だ、あれ…。

「おい、松井!」

「んぁ?」

「早川ってなんかされてんのか?」

「え?あ~無言ゲームのターゲットになったんだろ?知らねぇけど。」

無言ゲーム…あの無視するゲームか…。
ただのいじめじゃねぇか。

「…くっだらねぇ。」


早川の周りだけ時が止まっているようで。

早川の周りだけ色が無くて。

まるで…まるで早川が存在していないようだった。