温かい愛の中で



出会い ~晴翔side~

小木の授業はつまんねぇ。
だからサボって屋上で昼寝でもしようかと思っている。

俺は不良じゃない。
でも不良品かもしれない。
不良品だから母親に捨てられたのかもしれない。

まぁそんな過去のことはどうでもいい。
今問題なのは屋上に人がいないかどうかだ。

人がウジャウジャいる所は苦手だ。
でも今は授業中だからウジャウジャはいないと思うけど。

ギィ…重い扉を開ける。

人は…え…。

俺の目に映ったのは柵の向こうで手を広げる女子。

もしかして死ぬのか?
止めたほうがいいのか?
でも声かけてピョンなんてことになったら…。
いやでも説得するべきか?
大きな深呼吸をしてその女子に声をかけた。

「…死ぬの?」

飛び降りるな…飛び降りるな…。

その女子は何言ってるかわからないという感じの顔をしている。

飛び降りないのか?
俺がホッとしているうちにその女子は柵を乗り越えて言った。

「…死ねたらいいね。」

そのままその女子は早足で屋上を去っていった。


すごい冷たい目だった。
光を宿さない闇に満ち溢れた目。
あの時と同じ。