あたしに笑顔をくれたのはあなたでした

中学3年。

本格的に部活に気合を入れていた頃だった。

でも、毎日同じ練習メニューで
みんなだらけていた。

あたしはみんなを引っ張らなきゃと思いながらも
みんなといるといつの間にか
あたしもだらけちゃってて、
あたしは気持ちが弱い人間だなと改めて思った。

そんなある日。

休憩中に隣にいた栞奈が
「平沢って可愛い・・・」
との発言。

栞奈はかなりのメンクイ。

毎日いろんな人をかっこいいと言っている。

平沢秦(ひらさわみなと)。

同じバド部。

平沢も小学校からバドをやってるから結構上手。

身長175で目がくりくりの童顔。

今までよく見てなかったからわかんなかったけど

「・・・確かに可愛いかも。」

ポツリとつぶやいてしまった。

ヤバい。すぐにその場を離れようとしたけど

時すでに遅し。

隣の栞奈からにやりという効果音がぴったりな

笑顔を向けてきた。

と、同時にあたしは腕をひっぱられ

平沢のもとへ栞奈がダッシュ!

その元気、練習に使おうよ、栞奈さん。

「平沢!」

栞奈の声に気付き試合の準備をしていた平沢が

こっちを振り向いた。

「何?」

「うん!やっぱりあんた可愛いわ!」

栞奈さん。あなた唐突ですね。

さすがの平沢もビックリしてるよ。

「愛梨も可愛いって言ってるよ。」

・・・栞奈さん、あなたほんとに・・・。

・・・ふう。

とりあえず落ち着こうと思い、平沢の顔を見ると

まだ驚いていた。

「ふっ・・・。」

あたしは思わず笑ってしまった。

「あんたまで何だよ。」

平沢がやっとしゃべった。

「だって、ずっと驚いた顔で止まっちゃってるから。
 うん、確かに平沢可愛いよ。」

あたしは笑いながらそう続けた。

「はあ?あんたら二人はなんなんだよ。
 ほら、そろそろ休憩終わるぞ。」

「「ほ~い。」」

あたしたち二人は声を合わせ返事をし

ラケットをとりにいった。

思えばこの時からだったのかもしれないなぁ。