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「まことちゃん、もうすぐクリスマスだね。今年は何か予定はあるのカナ? もし空いてるなら、俺の部屋でケーキ食べてくれない?」

「うざい。散れ、茨城」

「いやいや、ケーキ食べるだけだって!ほかに何かしようだなんて下心は持ってないし、たとえ持ってても“心”だよ? 健全なお誘いだと思いませんか、まことちゃん!」

「……意味分かんないし」


12月に入ったとたん、バイト先の茨城先輩のうざさは200%に上昇し、まだ12月5日だというのに、気分はもうクリスマスらしい。

今日も今日とて、バイト中にお客さんの目を盗んでは絡んでくる先輩を冷たくあしらったあたしは、少しずつクリスマス色に染まっていく街並みをレジカウンターの中から眺めながら、頬杖をつき、長いため息をついた。

季節はもう、そんな時期。

今は、深夜に近い時間帯と、マンションや家が立ち並ぶ住宅街という店の立地条件も重なり、お客さんはまばらゆえ、ちょっと休憩だ。


「ねえ、まことちゃんってば!」

「ああ、もう、うるさい、茨城。クリスマスの予定はなくとも、先輩となんか死んでも一緒になんて過ごしませんよっ。寂しくても1人で過ごしたほうが、万倍、有意義です!」