けれど、それを振り払うように頭を振り、あたしは席から立ち上がって言う。


「帰ろう、奈々。ずいぶん長くお邪魔しちゃったし、愛菜の様子も見たし。それに、オトコの娘カフェも十分楽しんだでしょ?」


これ以上ここにいたら、あたしは本当に、引っ剥がしたい衝動に駆られたままに、竹山に突っかかっていってしまいそうだ。

なんだか怖いんだもの、自分も竹山も。

メルさんはさっき、竹山みたいな人が一番危ない、と言ったのだけれど、一歩間違えれば、あたしも危ない人になってしまいかねない。

それだけは、ぜひとも避けたかった。


「そうだね。楽しかった、オトコの娘カフェ。うん、帰ろうか、マコ」

「じゃあ、ドアまでお見送りするわ」


そうしてあたしたち3人はドアに向かい、柔らかく微笑んで手を振ってくれるメルさんに手を振り返しながら、カフェをあとにした。

気を使ってくれたのだろう、帰りはそのまま帰らず、カラオケに誘ってくれた奈々。

オトコの娘カフェのことには何も触れず、ただただ楽しく歌いまくり踊りまくり、そうして夕方まで時間を過ごし、夜は外食をし、その日も奈々の部屋に泊めてもらった。