「で、肝心の葉司君は? どこ?」

「ええと、うーん。……あ、いた。あそこ」


さっきのメイドにオレンジジュースを頼んだあたしたちは、それを飲みつつ、まずは葉司の様子を見ようと店内に視線を走らせた。

すると、ほどなくして、カウンター席の奥のほうでじゃんけんをしている葉司……いや、ここでは愛菜と呼ぶべきか、の姿を目にとらえる。


「どこよ。分かんない」

「ほら、カウンター席の奥。お客さんとじゃんけんしてるでしょう。あの娘」

「……えっ!? あれが葉司君!? どこからどう見ても普通の女子高生じゃないの!どうしよう、めっちゃ可愛いんですけどっ!!」


当然、奈々は葉司のオトコの娘姿を見たことがないため、ひそひそと耳打ちして所在を教えることになり、見つけた奈々は興奮しまくる。

あたしも今日、久しぶりに愛菜の姿の葉司を見て、改めて可愛いと思ったのだから、奈々が興奮する気持ちも大いに頷けた。


このお店のスタッフの娘、全員を見たことはないから一概には言えないけれど、愛菜の可愛さはメルさんに匹敵するのではないかと思う。

可愛さのジャンルは違えど、人気度で言ったらどっこいどっこい、いや、孤高の美しさを誇るメルさんだ、近寄りやすい雰囲気な分、愛菜のほうに分があるのかもしれない。