「マコ、どうしたのよ。昨日はあんなに張り切って『葉司と久しぶりに話すんだ!』って言ってたじゃないの。別れさせられたって、どういうこと? 葉司君からそう言われたの?」

「ううん。でも、言われたも同じ」

「どれ、奈々さんに話してみるがよいよ」

「……うん」


ただ事ではないと感じたのか、いつもはわりと薄情に物を言う奈々が、すごく優しい。

その優しさに甘え、あたしは抱えていた頭から手を離すと、ひとつ大きく息を吐いて気持ちを整理し、事の経緯を語りはじめた。


幸い、今はお昼休み、ここは空き教室。

あたしたち以外に数人の学生はいるものの、みんな席が離れているから話の内容が聞こえる心配はなく、時間もたっぷりある。

お昼ご飯を食べながら、話を聞いてもらおう。


そうして、昨日のカフェでのことを語り終わると、今度は奈々が大きく息を吐く番だった。

続いて「あんたたち、一体何やってんのよ」という、ごもっともなお叱りを受ける。


「あのね、マコ。そもそも、葉司君が別れたいわけないでしょう。つき合いはじめた頃、葉司君の溺愛っぷりにドン引きしてたのはどこの誰よ。それが本心からじゃないことくらい、マコも分かってるはずじゃないの」

「そうなんだけどさ……」