パッケージには『You're not being true to yourself』と書いてあって、直訳すると『それは本心じゃないね』という洋画らしい。

なんていう映画を借りやがったんだ、こんちくしょー!と、心の中で悪態をつきつつ、返却業務をなんとか終え、お客さんに頭を下げる。


「ありがとうございましたー」

「またどうぞー!」

「ふんぬっ」

「いったっ!……なな、何すんのよ、まことちゃん!いくらまことちゃんが好きな俺でも、いきなりはびっくりしちゃうじゃないの」


まさに、今のあたしに送られるべくして送られたようなストレートすぎる言葉に、お客さんが店を出たとたん、茨城先輩の頭をぶん殴る。

このやり切れなさといったら、もう……。


「あ、蚊だ」

「いたっ。蚊って、今は11月だよ!?」

「じゃあ、ハエ」

「い、痛よ、まことちゃーん……」


それからあたしは、何かと理由をつけては先輩の頭を叩き続け、その先輩は、マゾっ気があるのか、いつまでも嬉しそうに笑っていた。

ちょうどいいところに頭があったのだ、ラッキー!とでも自己解決してください。


本当は別れるつもりなんかなかったのに……。

あんなの、全然、本心じゃない。