「……、……」
絶句、とは、まさにこのことだ。
葉司がたとえ「オトコの娘をやめたくない」と言ってきたとしても、心も体もちゃんと男の子だということなら、前向きに考えてもいいかもしれない、なんて思っていたのだけれど。
そのほのかな期待や、あたしなりの精一杯の理解を根底から覆すようなことをカミングアウトされたのだ、絶句したってしょうがない。
しかも、カミングアウトは2回目だ。
ガチャン……!
テーブルの上の食器が音を立てる。
あたしがテーブルを叩いて勢いよく立ち上がったのだ、葉司の手からあと一口だったサンドイッチが滑り落ち、お皿の上に散乱した。
「マ、マコ!?」
「もーーーーやってらんない!なんであたしの気持ちを分かってくれないかな、葉司は!オトコの娘って何よ!? 女の子は男に守ってもらえる存在!? ふざけないでよっ!!」
「マコ、れ、冷静に……!」
「そんなのできるわけないでしょ!? あたしがこの3週間、どれだけ悩んで考えて、それでも葉司のことが好きだから、話をしたいってこうして来てもらったの!分かってる!?」
「分かったから、座って、マコ」
「いいや、分かってない!」


