オトコの娘。*彼氏、ときどき、女の子!?*

 
メルさんは葉司を“ちゃんとした男の子”だと何度も言っていたし、あたしが深読みしすぎているだけなのだろうとは思っている。

でも、だからこそなのだ。

葉司の口からちゃんと「違うよ」と聞かなければ、いつまでもそんな疑惑を抱えたまま、これからのことを考えていかなければならない。

そこは、はっきりと否定してもらわなければ、あたしとしてもすごく困る。

のだけれど……。


「……、……。……ちょっと、分かんない、かも」

「は?」


葉司ときたら、これである。

たっぷりと間を取った挙げ句、とてつもなく言いにくそうに、そう言ったのだ。


「ちょ、ちょ、ちょっと待ってよ葉司!分かんないかもってどういうこと!? あれだけチューもエッチしておいてそれはなくない!?」

「いや、俺だって普段は男の格好だし、オトコの娘はあくまで趣味っていうか、もともとが、女の子は男に守ってもらえる存在だから俺も誰かにそうされたい、っていう願望からはじまったのは確かなんだけど……」

「だけど、何よ?」

「……マコに言われて初めて思ったんだよ。もしかして俺って、心の底では本物の女の子になりたいとずっと思っていたんじゃないか、心はもうとっくに女の子なんじゃないか、って」