オトコの娘。*彼氏、ときどき、女の子!?*

 
「どどどど、どうしたの、葉司!?」

「えへへ。可愛いでしょー」


か、可愛いでしょーって……。

開いた口がふさがらない、という経験をしたのは、このときが初めてだった。

まばたきも、息すらできず、あたしは固まる。


葉司の格好。

それは、一言で言うなら女子高生だった。

いや、正確に言うなら女子高生のコスプレで、紺のハイソに赤と黒のチェックのスカート、白のシャツの胸元は第3ボタンくらいまで開いていて、首にはスカートと同じ柄の大きなリボンネクタイが気だるげにかかっている。


問題は顔だ。

急いだと言っていたわりにはしっかりとメイクアップされた葉司の顔は、つけまつげもマスカラも、アイシャドーもチークもグロスも、あたしの目からは綺麗に仕上がって見える。

髪型だって、普段の葉司は、サッカーをしていることもあって黒髪に緩くウェーブをかける程度で長いほうではないのだけれど、カツラだろう、濃いめのブラウンのロングストレート。

どこから見ても街でよく見かける女子高生そのもので、例えば知らずにすれ違ったとしても、うわぁ、すらっとしててモデルさんみたいー、くらいにしか思われない容姿だ。