大学帰り。

奈々と、今日はあたしの部屋で飲もうか、なんて話しながら校門に向かって歩いていると、その校門前がやたらと騒がしかった。


奈々につっこまれるのも無理なはい。

あたしは今、毎日がいっぱいいっぱいで情緒が不安定なのだ、日本語だって安定しないさ。


それはそうと、校門前には黒山の人だかりができていて、異様などよめきが起こっていた。

近づいて学生たちの声に耳を傾けてみると、どうやら、どよめきの正体はヒソヒソ話が塊になって騒がしく聞こえていたものらしい。

黒山の人だかりが一斉にヒソヒソ話をはじめれば、いくら小声でも騒がしくなって当然だ。

で、そのヒソヒソ話の中身とは……。


「あの人、女の子っぽいけど男じゃない?」

「てか、性別よりフランス人形みたいな服だってば!どこに行けば売ってるんだろう」

「まさか手作り!?」

「そもそも何しに来てんの? 超目立ってんのに全然動かないし、ずっと校舎のほうを見てるし、誰か知り合いでも待ってるわけ?」

「その知り合い、出て来ずれぇ……」


とまあ、こういう会話が延々ループして異様などよめきを起こしていた、と。

そういうことらしい。