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それから後のことは、正直何も覚えていない。

ただ、部屋に帰ってバッグの中身を力任せに机にぶちまけたときにノートを床に落としてしまって、それを拾う過程でしっかりと講義のノートをとっていたのが見えたため、どうやら大学には戻ったらしかった。


それと、右手首の軽い捻挫。

これは想像するに、純平のゴリラ並みの厚い胸板に一発入れたのだろうと思う。

一発入れただけで手首がおかしくなるなんて、なんていうゴリラなんだ、まったく。

それでも講義のノートをとったのだから、相当ショックが大きすぎて痛みが麻痺していたか、あたしがすごいか、どっちかだ。


さらには、送信した覚えのないメール。

携帯を見るとメール受信のランプが点滅していて、読んでみると、葉司から『分かった、マコに任せるよ』とだけ書いてあって。

よく意味が分からず送信メールをさかのぼって確かめると、講義が始まる直前の時間に『しばらく距離を置いてつき合いたい』というメールを葉司に送っていたことが判明した。


「はぁ……」


記憶がないのに、講義に出たりメールを送ったり、挙げ句の果てに捻挫までしちゃって。

あたし、す、すごい……。涙。