あたしも純平のセンスをとやかく言える立場ではないけれど、つくづく不思議に思う。
どうして容姿も服のセンスも人並み以上の葉司と友だちなのだろう、と。
何か弱みでも握られている?
例えば“オトコの娘"とか。
そうして考えを巡らせていると……。
「あれ、何だ? この画面。オトコの娘の画像ばっかじゃん。まこと、興味あるの?」
「うぎゃっ!!」
「ちょっと!人の携帯を勝手に覗くなんてサイテーだよ純平っ!! ハゲろ!! バカっ!!」
“オトコの娘"を検索した画面を開いたままテーブルに置き忘れていた携帯を見られてしまい、あたしは奇妙な悲鳴を上げ、奈々はハゲろと罵りながら純平の坊主頭を引っぱりはじめた。
けれど、しっかり見られてしまったのだ。
もう遅い。
「いいよ、奈々。もう十分ハゲじゃん」
「でも……」
もちろん勝手に携帯を覗いた純平が一番悪いけれど、置きっぱなしにしていて、しかも待ち受けに戻さず開いたままだったあたしも悪い。
それに、これ以上過敏に反応しては、いくらバスケバカの純平にだって「“オトコの娘"に何かある」と悟られてしまうおそれがある。
ここは、何本か髪の毛が抜ける程度にとどめておくのが賢明であり、得策と言えよう。