「ねえ、愛菜。この間の雑誌で見たワンピさ、やっぱり買いに行きたいなー、なんて思う」
「ほんと!? マコ、絶対に似合うよ!!」
「だといいなー。ま、微妙でも着るけどね」
奈々たちと別れ、せっかく出てきたのだから、と街をブラブラしながらの帰り道。
行きたいところができたあたしは、愛菜につき合ってもらい、この前、ファーストフード店で広げた、ファッション雑誌に載っていたワンピースを買いに行くことにした。
気分的に買ってもいい気持ちになったこともあるのだけれど、茨城先輩が店長に話をつけてくれたらしく、明日からでもバイトに復帰してほしい、と言ってくれているそうなのだ。
「これで、ぜーんぶ終わったね、愛菜」
「うん。季節もすっかり春になってきたし、もうすぐ新学期だし、いろいろあったけど、新しくはじめるには申し分ない節目だね」
そんなことを言いながら、街を歩く。
さしずめ、あれだろうか……。
「えーっと、ことわざであったよね? 揉め事なんかの悪いことがあったあとは、かえって基盤がしっかりして、前より良くなる、みたいな言葉。雨降って、ナントカっていう……」
「ああ!雨降って、地固まる、だね。それ」
「そっかぁ。あたしたち、それだね!」


