男前な葉司も、もちろん好きなのだけれど、やっぱりあたしは、笑った顔が一番好きだ。
デレデレと葉司に笑いかけると、葉司も仕方ないという様子で笑顔を作り、そうしていると、次第に愛菜の気分に戻っていったらしく、ドーナツを一口かじると「おいしー!」と。
そう言い、頬に手を当て、可愛い仕草をした。
「てことで、あたしたちはもう怒ってないし、いろいろと骨を折ってくれてありがとう、ってわけだから、みんなでお茶しよ?」
しばらく蚊帳の外に出してしまっていた奈々たちにそう言うと、あたしも愛菜と同じようにドーナツを頬張り、その美味しさにとろける。
そんなあたしに、3人はしばし目をパチクリさせていたのだけれど、愛菜が「みんなも食べなよ!」と勧めたことから、徐々に調子を取り戻していったようで、以前のうざさ120%が見る影もなかった茨城先輩でさえ、大口を開け、美味しそうにドーナツを頬張っている。
うん、うん、これでいい。
これがいいのだ。
あたしのことを、単純だとか、バカだと思う人もいるかもしれないけれど、葉司をはじめとして、奈々、純平、メルさんや野宮さん、茨城先輩に、竹山も、なんだかんだでつき合ってくれているのだから、あたしはそれでいい。


