オトコの娘。*彼氏、ときどき、女の子!?*

 
ミセドへ来るまでに使った労力云々の話ではなく、きっと奈々たちが、お互いに本心を隠して別れた葉司とあたしのために骨を折ってくれたことだ、ということが分かるため、である。

それに茨城先輩も一枚かんでいた、というだけの話で、誰も悪くないことのように思う。

愛菜も「マコがそれでいいなら」と了承してくれ、とりあえず、ドーナツとジュースを買ってから席に向かうことにし、数分の後、5人でテーブルを囲む運びとなった。


「まずは、ごめん、マコ、葉司君。クリスマスのときのあれは、全部あたしが仕組んだことだったの。茨城さんに協力してもらって、葉司君にやきもちを焼かせようって予定で、純平にもマコの誘いを断るようにしてもらったんだ」


席につき、ストローの紙袋を破いていると、開口一番、奈々がそう言い、申しわけなさそうに眉尻を下げて、ほのかに笑った。

黙っていたことが相当苦しかったのだろう、言い終わった奈々の顔は、すっきりとしている。

すると、続けて純平が口を開く。


「まことたちが店の近くを通りかかる頃合いを見て、葉司を外に連れ出してさ。茨城さんに任せて、あとはもう、葉司の心に火がつくのを待つのみ、って感じで奈々とこっそり後をつけてたんだけど、途中で見失っちゃって……」