オトコの娘。*彼氏、ときどき、女の子!?*

 
告白をしようとした、まさにそのとき。

椅子が大きくガタンと音を立てたかと思えば、ステージ上に飛び上がった愛菜……いや、ここでは葉司だ、が、あたしをきつく抱きしめ、涙をこらえた声色でそう言ったのだ。

葉司の抱きしめる力が思った以上に強く、うまく呼吸すらできないあたしは、加えて、突然の抱擁や「大好きだ」という葉司からの告白に、一瞬にして頭が真っ白になる。

一体、今、何が起こっている……?

え? え? 葉司!?


もう、ラブパニックもいいところだ。

告白をしようとしていたのに、反対に葉司のほうから告白をされ、しかもみんなが……竹山が見ている前で、こんなにもきつく抱きしめられるとは、誰が想像しただろうか。

葉司のあまりにも突然な行動に、あたしはもちろんのこと、奈々も、メルさんも、竹山も、お店のスタッフの娘たちも、ここにいる誰もが、1ミリもついていけていない。

けれど、なおも静寂が続く中、葉司は言う。


「やっぱり俺、マコが好きなんだ。部屋にあるマコの荷物も全然片付けられないし、大学でもマコの姿ばっかり探しちゃうし、マコがもう悩まないように、って思って別れたけど、それでも……っ!俺の全部はマコなんだよ!!」