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電車に乗り、それからほどなくして着いたオトコの娘カフェ『ねこみみ。』の前に立った奈々とあたしは、お互いに顔を見合わせ、大きく深呼吸をし、せーのでドアを開けた。

相変わらずの「いらっしゃいませ~、お嬢さま方~」という野太い声に出迎えられつつ、あたしたちは愛菜と、おそらく愛菜の近くにべったり引っ付いているだろう竹山の姿を探す。

愛菜……すなわち葉司を探すと、もれなく竹山も一緒に見つかってしまう、というのが悔しくはあるのだけれど、それもまた、仕方がない。


「あ、いた!愛菜と竹山!」

「よし、行ってこい、マコっ!!」

「おうよっ!」


奈々にばしっと背中を叩いて気合いを入れてもらい、あたしはいざ、デレデレとした顔で愛菜に相手をしてもらっている、もはや定位置と思われるカウンターの奥の席へと足を進めた。

のだけれど……。


「2人はこっちね。今、愛菜と竹山に話してくるから、先にスタッフルームで待っていて」

「あれ!? メルさん!?」

「んもう、来るなら来るで、先に一言、連絡を入れてほしいものだわ。まことちゃんって、わりといつも突然ね。うふふ」