オトコの娘。*彼氏、ときどき、女の子!?*

 
あからさまにはぐらかされてしまい、それならいっそ清々しいくらいなあたしは、コーヒーを飲み干すと、キッチンでチョコを出して待っている野宮さんの横に並び、やいやいと文句を言いながら、ラッピングをしはじめる。

メルさんもメルさんなら、あたしの文句を笑顔で受け流している野宮さんも野宮さんだ。

まったく、このお屋敷の人たちといったら……。


「あ。そうだ、野宮さん。ずっと聞こう聞こうと思ってたんですけど、メルさんがオトコの娘だって知ったとき、野宮さんはどう思ったんですか? やっぱり戸惑いました?」


けれど、せっかく仲良くなりはじめた……と、あたしは思っている野宮さんと2人きりなのだ、文句ばかり言っていても仕方がない。

身近に大先輩がいるのに今まで聞いていなかったのも不思議なくらいで、いい機会だし、ラッピングの片手間に聞いてみる。

とどのつまり、話題と情報がほしいのだ。


「そうですね、最初はやはり、戸惑いましたかね。しかし、お嬢様はお嬢様ですから」

「あ、やっぱりそこに落ち着くんだ」

「ええ。石田様も、お嬢様のことをそう思ってくださっているのですよね? それでしたら、石田様はもう答えを出されているのではないですか? お嬢様を思う気持ちを、石田様の大事な方に置き換えれば……でございます」