「それはそうと、今日のまことちゃんのこれからの予定は? さっき、野宮も言っていたけれど、あたしはこれから出勤なの。憎き竹山に、あたしがチョコを作ったことにして見せびらかそうと思うのだけれど、どうかしら。まことちゃんも、竹山が一泡噴くところを見物してみてはいかがかしら。きっと面白いわよ」
そうして、なんだかよく分からない寸劇の最後を野宮さん頼みで締めくくると、おもむろに服を着だしたメルさんが、そう言った。
てか、ほんっと、自由だよね……。
なんでお風呂上がりにバスタオル一丁で出てきたのかも、服を脱いでキメ顔をしたのかも、そして、このタイミングで服を着るのかも、庶民のあたしには、全然分からない。
まず最初にカツラを装着したあたりの面白ぶりも、きっとあたしには、一生かかっても理解できない崇高な理由ゆえの動作なのだろう。
「いえ、予定はないですけど、カフェに行くつもりはありません。葉司や竹山には、ちゃんと答えを出してから会いたいんです。勝手かもしれないですけど、そうさせてください」
けれど、すぐに気を取り直して言う。
あたしなりのけじめ、というのだろうか、しっかり答えを出していないまま会ってしまうと、どこか気持ち悪い感じがするのだ。


