ということで。
「もっかい言ってもらってもいいですか? てか、なんで脱ぐかな、意味あるの?」
なんだか、メルさんに手の平で転がされて遊ばれているような気がして、もう一度言ってほしいとお願いしつつ、少し反撃に出てみる。
相変わらず、絶対的に美しい顔が間近にあるため、近くにあったクッションを盾にし、メルさんが視界に入らないようにしながらだ。
「あら、一度しか言わないって先に言わなかったかしら? それに今、あたし的にはかなりキメ顔で言ったつもりだし、そう何度も言いたくないわよ。てか、脱ぎたい気分なのよ」
「一度しか言わないなんて聞いてないです。その前に、言ってもないです。いいから、もっかい言ってくださいよ。にしても、気分で裸になられても困るんですよね、脱ぎ魔が」
「嫌よ。強制されるの嫌いなのよね、あたし。だから言わないわ。もう言わないのも、好きなときに脱ぐのも、全てあたしの自由。それがあたしには許される。だってセレブだもの」
「かっこよすぎる……っ!!」
けれど、有無を言わせぬ説得力でセレブ発言をされてしまい、どうだとふんぞり返るメルさんの前に、あたしはあっさり敗北してしまった。
まあ、本当のセレブなのだから仕方がない。
あとでこっそり、野宮さんに教えてもらおう。


