ただ、メルさんのような“オトコの娘”に出会うチャンスや、事前にその知識があったなら、とは切に思っていて、巡り合わせの悪さ、というか、前後のタイミングは大いに悔やまれる。
少なくとも、答えは出せていたはずだ。
すると、メルさんは唐突に立ち上がり、カツラや服をポイポイと脱ぎ捨てはじめる。
あたしはもう、わけが分からなさすぎて、その様子を黙って見ているしかできなかったのだけれど、ものの数十秒でパンツ一丁の姿になったメルさんは、腰に手を当て、あたしに人差し指をビシッと突き出すと、こう言うのだ。
「それよ、まことちゃん!」
「……なな、何がですか?」
「今、まことちゃんは、あたしのことを好きだと言ったわよね? それは、性別の関係なく、あたしそのものが好きだと思っているから、そう言ったはずよ。どう? 違う?」
「いえ、メルさんそのものが好きだからです。あたしもひとつ、赤裸々発言をすると、メルさんに抱かれてもいい、なんて思ってます」
「あら。両想いね。嬉しい」
うぎゃっ、なんてことを……っ!!
ちょっと思っただけなのに、便乗して何を口走っているのだ、怖い怖い怖い、赤裸々怖い!!


