えー……。
ますます分からなくなってきたんですケド。
うーんと、要は、性別は二の次で、好きになる基準は、その人の人間性ということだろうか。
それに当てはめて考えていくと、メルさんは、どういうわけかあたしの人間性を気に入り、先ほどたっぷりと、ご自身の赤裸々すぎる欲望を語ったと、そう解釈をしたらよさそうだ。
けれど、いまいちピンときていないから、今思っていることを言ってみようと思う。
「……えーと、あんまり話についていけていない気がするんですけど、とりあえず、お礼だけ言わせてください。いろいろしたいって思ってくれて、ありがとうございます。光栄です」
「あら、そお?」
「はい。あたし、メルさん大好きですもん」
そう言いながら、あたしはしみじみ思う。
もしも葉司に「オトコの娘なの」とカミングアウトされる前にメルさんに出会えていたなら、あたしは間違いなく葉司を受け入れていただろうし、お互いに愛も深まり、今ごろは楽しいバレンタインデーを過ごしていただろう、と。
けれど、それはあくまで今だからこそ思えることであって、実際はどうだったのかも分からないし、結果は同じだったのかもしれない。


