「どうしたの? 冷めちゃうよ?」
「……うん」
「ん?」
よく分からないのだけれど、何かあたしに言い出しにくいことを言おうとしている……?
一瞬、「オトコの娘なの」とカミングアウトされたときのことが頭をよぎり、もしかして“本物の女の子になりたい”と言うつもりなのでは? と、あたしも思わず背筋が伸びた。
「いや、ご飯の席で話してもいいものか……」
「そこまで言ったんだから、話してみてよ」
「うん、その……」
「なに?」
ここまで来ても、ものすごく言いにくそうな葉司に、あたしの疑惑は徐々に確信めいていく。
しかし……うん、覚悟はできている。
葉司父からの大きな愛も受け取ったことだし、オトコの娘の自分も含めて“駒村葉司”だ、と言い切った葉司なのだ、悩み抜き、考え抜いて、例の“境目”の答えが出たのかもしれない。
前々からそのことは聞いていて、覚悟はしていたし、答えが出るまであたしは待つと決めていたのだから、今さら動揺なんてしないさ。
どーんと言ってくれていいよ、葉司。
すると……。
「じゃあ、言っちゃうね。マコの荷物、どうしようか。ゆっくり話す時間がなかったから相談もできないままだったけど、いい機会だし、どうするか、食べながら決めない?」


