「ああ、でも……」
「ん?」
けれど、そこで葉司の声色が一段下がる。
心配になり、少し体を放して葉司の顔を窺おうとするも、葉司はしっかりとあたしの胸の谷間……まあ、ないに等しいのだけれど、に顔を埋めているため、つむじしか見えない。
お、左巻きだ。
いやいや。
うわー、なんだか妙にエッチな図……。
いやいや、いやいや。
別れて以来、こういうシチュエーションとは、とんとご無沙汰だったため、いったん意識しはじめると、とたんに顔が火照る火照る。
「きっと親父は、俺にこんな趣味があって、さぞかしがっかりしたんじゃないかな。父子家庭で子ども3人抱えてさ、俺ら兄妹には何も言わなかったけど、苦労したんだと思う」
けれど、変に意識しているのはあたしだけなようで、葉司はそう言い、また鼻をすすった。
あたしはそれに慌てて、しかし1人で変に意識しているのを悟られないよう、慎重に「うん」とだけ返事をし、こう続ける。
「葉司、いっぱいいっぱいのところで踏ん張ってたんだね……。そんな葉司のこと、お父さんはちゃんと見てるよ。あたしが言うことは信じなくてもいい。でも、これ。ここに書かれてることだけは、どうか信じてほしい」


