そう強く言い、あたしはふわり。
葉司の頭を優しく抱きしめ、胸に引き寄せる。
「ごめん、痛かったよね……。でもあたし、葉司は、本心からお父さんの本当の気持ちを聞きたくないって言ってるようには思えないの」
「……それ、買いかぶり。だって、すげー怖いんだもん、親父も、親父の本心も。マコは分かんないと思うけど、大学に入って一人暮らしをするまでは、本当に散々だったんだよ、俺」
「うん。ごめん」
「母親もいないし、妹たちも、ゆくゆくは激烈な親父のことも俺が守らなきゃ、って自分に言い聞かせてさ。親父が怖くて怖くて仕方がなかったけど、それでも俺、頑張ってたんだよ」
「そっか。何も知らないね、あたし」
「まあ、言ってなかったからね」
あたしの背中に手を回した葉司は、そう、か細い声で言い、小さくため息をつくと、少し泣いているのだろう、ズスッと鼻をすする。
ああ、そっか。
そこであたしは、葉司が今、ずっと甘えたくても甘えられなかった天国のお母さんに、あたしを介して甘えているのだと思った。
なぜそう感じたのか、言葉で説明するのは難しいのだけれど、しいて言うならば、あたしが葉司のお母さんと同じ、女だからだろうか。


