もしも本当にそうだったとしたら、あたしが今まで一生懸命に話してきたことって……。
葉司父の愛は、葉司には届かないの?
「ちょっと葉司!! いい加減にしなさいっ!!」
バコッ!
今もなお、両手で耳をふさぎ、聞か猿、な体制をとっている葉司の頭を思いっきり叩く。
葉司とつき合っていた中で、たったひとつ、たったひとつだけ、ここが直ってくれたらいいのにな、と思っていたことがあった。
それは、一度“こう!”と思い込んだら、ほかの人の話をなかなか耳に入れてくれない、という部分で、欠点だらけのあたしが自分を棚上げにして言うことではないのは、もちろん分かっているのだけれど、でも、どうしても。
葉司が、葉司父は女の子には優しいとか、俺にだけは厳しいとか、やいやい言うものだから、どうしても聞く耳を持ってもらいたくて、場の勢いもあり、強行手段に出てしまったのだ。
「聞いてみなきゃ、本当のことなんて分かんないでしょ!? あたしが知ってる限り、今の葉司が一番かっこ悪い!あたしが好きな葉司は、オトコの娘だろうが、境目が分からなくなっていようが、そんな情けない人じゃないよっ!!」
「……っ」
「大丈夫なの!! 葉司は愛されてる!!」


