けれど、話をするなら今なのだ。

愛菜は胸の前で手を組むと、ふーと大きく息を吐き、口を開きはじめた。


「ほんと、驚かせちゃったね。マコにはどう謝ったらいいか分からないよ……。ただね、マコとちゃんとしたくて。だったら言うしかないと思ったの、俺が“オトコの娘"だってこと」

「うん」

「これから先のことは、全部マコの判断に任せようと思ってる。それでね、たぶん今、マコは“オトコの娘"にピンときてないと思うんだ。参考になるか分かんないけど、とりあえずこれ、読んでみてもらってもいいかな?」

「うん? ……うん」


そう言って携帯を操作した葉司。

とある画面を開くと、あたしに差し出した。


【男の娘(おとこのこ)】

男の娘とは、男性でありながら女性にしか見えない容姿と内面を持つ者を指す言葉。服装や化粧を整え女性として生活していることも多い。

現在では、容姿や内面に関係なく、女装行為を行う男性の象徴として広い概念で扱われており、女装行為を行う男性自身が名乗るケースも多い言葉となっている。  [ワキペデュア]


そこには“オトコの娘"に関する説明がつらつらと書かれていて、ざっと読んでみたところによると、そういうことらしい。