そうして、先回りをして言ってしまって申し訳なく思うももの、今着ている制服のことを告げると、葉司父は少し照れたように笑い、それからゴホンと咳払いをして口を開く。
葉司父もまた、分かっているのだ。
……いや、もしかしたら“分かりたい”のかもしれない、とあたしは思う、葉司が何を思い、何を考えているのかや、自分に対する気持ちを。
そんな葉司父にできることは、元カノだろうが何だろうが、誠心誠意、答えることだけだ。
「やはり息子には、その……こういう趣味があるということで間違いないだろうか。息子がいない間に部屋を掃除していたら偶然これが出てきてしまって、思わず着てしまったのだが」
「まず、見つけても思わず着ないでください。本当にびっくりしたんですから」
「それは失礼。つい、な」
つい、って……。
まあいい、いちいちツッコんでいたらキリがなさそうである、ここは華麗にスルーしよう。
あたしもゴホンと咳払いをして、先を急ぐ。
「それでですね、葉司には“オトコの娘”という一面があるんですけど、その制服を着て、アキバ原にある『ねこみみ。』というオトコの娘カフェでバイトをしています」


