それはさておき。
「……あ、あのぉ~」
「どうしたんだい、お嬢さん」
「さっき、普通に出てきましたけど、もしも訪ねてきた人が葉司や、ほかの人だったら、どうするつもりだったんですか? その格好」
聞きたい。
とても。
葉司に厳しいと聞く葉司父なのだ、女子高生の格好をしたおじさんがドアを開けたら、例えば宅配会社の人はもちろんのこと、葉司だったら卒倒してしまうのではないだろうか。
すると、葉司父は、あたしに座れとクッションを勧めながら、当然だ、というように言う。
「息子はまだ大学に行っている時間だし、ほかの人にどう思われようが、私はもうすぐ田舎に帰るつもりだ。大っぴらに言うと、すごくどうでもいいし、私には微塵も関係ない」
「そ、そうでしたか」
「うむ。お嬢さんに会えたし、当初の目的である古刀市でも満足のいく収穫ができたわけで、私としては、思い残すことはもうない」
うわー。
葉司のこととなると、この無責任ぶり……。
なんだか少し、この人の激烈ぶりがどういうものか、分かったような気がする。
しかし、ちょっとスルーできない言葉が。
「あの、古刀市って……?」


