「もしかしてお嬢さん、息子の彼女か?」
「はははは、はいっ!!」
心の中で猛烈にツッコんでいると、先ほどの女子高生オヤジ発言を気にも止めていない様子の葉司父にそう聞かれ、あたしは大いにどもりながらも返事をし、慌てて頭を下げた。
たった今、会ったばかりなのだけれど、話に聞いていた激烈ぶりはまるでなく、というか、マイルドすぎて、思わずズッコケそうだ。
「そうか、そうか。お嬢さんがねぇ。なかなか紹介してもらえないから、半分くらい諦めていたんだよ。ささ、上がって、上がって」
「はあ……」
「スリッパはいるかい?」
「あ、いえ、お構いなく……」
格好が女子高生だから、気持ちも女の子寄りになっている……? と思ったのだけれど、愛菜のときの葉司は仕草や口調も女の子そのものだったし、葉司父の場合は、ただ単にあたしが女の子だから優しい感じなのかもしれない。
2人の娘さんには甘い、という葉司の話を思い出し、久しぶりに入る部屋の中に案内されながら、とりあえずそう分析をしてみる。
葉司父も実は“オトコの娘”だった疑惑も含め、溺愛している娘さんの影響で女の子には優しいのか、もとからこういう人なのか、これから慎重に見極めていかなければなるまい。


