そうして着いた葉司の部屋の前で、ドクドクと心臓が嫌な音を立てる中、ピンポーン。
震える指でインターホンを押す。
来る途中で、葉司父に会ったら、まずどんなあいさつをしようかと必死に考えたのだけれど、一つとして納得のいくものが浮かばず、しかし気持ちばかりがはやり、えいっ!と。
ほとんど勢いだけで押してしまった。
ああ、あたし無計画すぎる……。
そんな中、あたしマジで大丈夫!? 大丈夫なのあたし!! と、いろいろな意味でドキドキしながら待っていると、中から人の気配が近づき、ガチャリと鍵を外す音が聞こえた。
ゆっくりとドアが開いていき、徐々に顔立ちや背格好が明らかになってきた人物は……。
「おおっ? 本物の女子!!」
「……、……。……キャー!! 女子高生オヤジっ!!」
なんと、葉司のものと思われる女子高生の制服に身を包み、カツラまでかぶった、おそらく葉司父と思われる、初老の男性だった。
リアクションがだいぶ遅れたのは、葉司の部屋を間違えたのかもしれない、と思ったことや、まさか女子高生の格好をしていたなんて思ってもみなかったこと、その他もろもろあり、言葉が見つからなかったからだ。
てかてか、親子揃って“オトコの娘”かよっ!!


